授乳服メーカーのモーハウスでは「お産やおっぱいの楽しさをもっとたくさんの人たちに知ってもらいたい!」と、地域の助産師たちと一緒にさまざまなイベントを開いている。つくば市でサロンとして開放しているオープンハウスもその一環であり、数百人が参加する大きなイベントも、年に数回開催している。
また、モーハウス独自の「授乳ショー」も有名だ。これは実際に授乳服を着ている母親たちの授乳の様子を見るもので「本当に(外から乳房が)見えないの?」という疑問を解決する。また、助産師のトーク、添え乳などの実演、そして会場からゲストが発言をしたりと、ライブ感たっぷりで参加者に大変好評だ。
主催イベント以外にも、各地のユーザーによる開催も増加。特に毎年11月3日の「いいお産の日」には、全国各地の会場でモーハウスの授乳服が紹介されている。
また、ホームページも非常に充実しており、お産やおっぱいに役立つ情報や、医師や助産師による連載、助産師相談や母親同士の情報交換など、コミュニケーションの場としても機能。もちろん通信販売で商品の購入もできるようになっている。まさしく会社自体が、母親のライフスタイルをデザインするメディアとなっているのだ。
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全国で展開されるモーハウスのイベント・活動
モーハウスの授乳服づくり
「産後の新しいライフスタイル」を授乳服の製作を通して提案する「モーハウス」。授乳服は実際にはどのように製作しているのだろうか?
スタッフは、子育て中、あるいはその経験がある母親がほとんどで、赤ちゃんにおっぱいをあげる時、どんな生地ならいいのか、どういうデザインにするのか、自分たちの授乳経験を活かして企画会議で話し合う。
それを受けて専属のデザイナーが、機能性だけでなく、流行を取り入れたデザインをする。ここでは授乳服ならではの様々な条件をクリアすることを求められる。
サンプル商品が完成すると、赤ちゃんにやさしく、ママに使いやすいものかどうか、さっそく試着して実際に授乳してみる。デザインが良くても、おっぱいの穴が広がらなかったり、赤ちゃんの顔に飾りが当たったりしてはNG。洗濯に強いことも条件で、数々のテストを重ねる。
合格すると、実際の商品がたくさん作られるが、いわゆる大量生産ではなく、縫製工場で熟練した職人さんが一着ずつ丁寧に手作りする。職人さん曰く、「他に比べモーハウスさんは検査が厳しい。お客様、使う人の視点でチェックしてくる」とのこと。
こうして多くの工程を通して届いた商品を、またスタッフが細部にわたってひとつひとつ丁寧にチェックして、モーハウスならではの授乳服を完成させるのだ。
授乳服で女性のライフスタイルをデザインするモーハウス
有限会社モーハウスは茨城県つくば市に本社を置く授乳服のメーカーで、東京・青山にも出店している。小さな会社ながらここが非常に有名になったのは、育児に携わるお母さんが起業した会社として草分け的な存在だからだ。社長の光畑由佳さんは女性起業家の代表選手として知られており、数々のメディアでも頻繁に採り上げられている。
創業は1997年。この年の夏、電車の中で泣き止まない子どもを抱えた光畑さんは車内で授乳。戸惑い、周りの視線、たくさんの気持ちのせめぎあい…。授乳という自然な行為が母親たちの行動を拘束しているという違和感を感じたと言う。それがモーハウス誕生のきっかけとなった。そして彼女が自宅で一人で授乳服を作りはじめ、イベントを開き、共感した母親たちや助産師たちが集まり、会社はまるで子供が大きくなるように成長した。
「女性たちが心地よい自由な生活を、赤ちゃんと一緒に楽しんでほしい」……授乳服を通して発信してきたモーハウスのメッセージは、この間に随分社会に浸透してきた実感があると光畑さんはホームページ上で語ってる。「子どもを育てる」という自然な行為に、なぜかつきまとう困難なイメージ、不自由さ、焦り、閉塞感……それらを抱えた女性たちの共感を集めたのは、企業としてはおそらくこの会社が日本で初めてだったのだろう。女性が出産・育児という人生の節目を好機とできるよう、授乳服という具体的な製品を通して勇気を与えた功績は大きい。